みなさんどうも。
日本には本当に数多くの資格がありますね。文部科学省によると国家資格だけでも290個を超えるそうです。これに民間資格が入るんです。壮大な数です。
今やどんな仕事にも何かしらの資格があるのではないでしょうか。もちろんビル管理業界だけ見ても非常にたくさんの資格があります。
先輩や上司からは「資格を取れ」と、とにかく言われ続けます。いっそできることなら象の耳たぶほどに大きくして耳と目まで塞いでしまいたいほどに言われ続けます。
なぜこんなにも資格について言われるのでしょうか。それにはちゃんとした理由があります。今回はそんな資格についてのおはなし。
こんな人におすすめ
・ビル管理のことに興味がある人
・資格を取る理由が分からない人
・ビル管理業界の新人さん
会社がビル管理業界で仕事をするため
会社がビル管理をするためには資格者が必要
会社がビル管理の事業を行うためには、業登録というものが必要になってきます。この業登録とは、「ビル管理という事業をしたいんだけど、事業をしても良いでしょうか?」と役所へ届け出る事から始まります。
この業登録の際に必要になるのが、監督者や従業者の資格です。これを人的基準と言いますが、この資格基準をクリアしていないと業登録の許可が下りません。
つまり、会社が事業をするためには、まず社長本人や従業者の資格が必要になります。これらの資格を満たすことで業登録の許可をもらって初めて事業ができる様になります。※事業登録の許可については、他にも様々な要件があります。
幅広く仕事を取りたいから
ビル管理と密接に関係する業種があります。例えば消防設備や電気の点検や工事などです。これらの仕事は物件担当者でも日頃から関わる事の多い設備です。
これらの消防設備や電気設備は業務独占資格があり、それを取得する事で点検や工事が可能になります。特に各種点検作業に関しては、ビル管理の定期の点検と相性が良く、ここを取り込む事で継続的な売上アップを目指す事も可能になります。
そういった事業規模拡大の機会を考えても会社としては資格者を抱えておきたいと考えています。
仕事を受注するため
建物ごとに決められている資格要件
資格が必要な理由の中でもここが一番重要です。
大きい建物では「入札」と言われる方法でビル管理会社を決めている事があります。特に官公庁の建物ではほぼこの方法が取り入れられています。この方法の場合、まず所有者側でその建物をどの様に管理して欲しいのかを提示します。その提示内容に人的基準として資格要件が定められている事が多いのです。
<例えば>
現場責任者:第三種電気主任技術者
現場副責任者:建築物環境衛生管理技術者
現場作業員(1名):危険物取扱者乙種4類
をそれぞれ持ってなければならない
といった具合です。これは建物で必要な選任の有無に関わらず、入札要件に含まれていればその資格者が必要になります。ですので、その資格が無ければそもそも入札に参加することができないのです。また、現場作業員に対しても資格要件を定めている事もあります。資格要件が定められている理由は以下2点と考えています。
1,選任が必要
2,責任者などの技術力の担保
選任が必要
選任が必要であるということについては何となくご理解いただけると思います。建物管理では有資格者の選任が必要な機器がいっぱいあります。施設内の稼働させたい機器に有資格者の選任が必要であれば当然その有資格者がいなければ稼働できません。そのために資格者が必要なのです。
責任者などの技術力の担保
きちんとしたビル管理を行うにはそれなりの知識や経験が必要になります。知識や経験がない人が責任者になってしまうと事故や故障などが発生したときに一次対応もできず復旧できないという事態になるかもしれません。そんな状態では所有者は安心して建物管理をお願いする事はできませんよね。きちんと建物管理ができる状態を担保するために、責任者などに一定の資格要件を定めているのです。
安心して任せられる人にお願いしたいよね
そうですよね。そのために資格要件があるんです。
長く仕事を受注するため
ビル管理の売上構造は下の図の様なイメージです。1件受託するとその建物とは数年から数十年の付き合いになります。競合他社に取られない様に毎年の利益率を低く抑え、その代わり長くお付き合いしてもらう事業スタイルなのです。この長くお付き合いしてもらうスタイルだからこそ考えなければならない事があります。
現場で働いているスタッフが永遠にその現場で働くわけではないのです。長くなってくると栄転や異動などの人の動きが出てきます。特に責任者はその傾向にあります。責任者を栄転させるためには、その建物の責任者に定められていた資格要件を持つ信頼できる人を新たな責任者にしなければなりません。これは一日では成りません。スタッフに資格を取得してもらって(若しくは資格を持っている人を雇って)、その建物の知識をつけてもらって初めて責任者になれます。その建物の知識だけでもダメです。資格が必要なのです。つまり、責任者ではないスタッフにも資格を取ってもらって、有資格者の層を厚くしておかなければならないのです。そうしなければその建物との長い付き合いも叶わないものになってしまいます。
従業員にとっては評価のため
売上げなどのノルマが無い
営業職等を除いて、請負契約で人的基準や業務内容や請負金額も決められている事が多いため、基本ノルマがありません。ではどのように現場責任者や現場作業員の評価が行われているのでしょうか。具体的な評価は会社によって違いますが、大きく2種類の視点から評価されていると考えて良いでしょう。
・情意評価
・能力評価
評価方法(情意評価)
いわゆる性格を見ています。協調性や積極性や責任性などの評価があります。周りのスタッフとの調和がとれているかどうかが主に見られています。評価方法はここでは省略します。
評価方法(能力評価)
いわゆるどれだけ会社に貢献したかということを見られます。現場のスタッフは売上で評価することは難しいので、ここで所有資格や資格取得状況が評価に入ってきます。また、資格以外では自分の能力がどれだけ業務に発揮できたかという指標として企画力や改善力を評価に取り入れているところもあります。
さきほどの「長く仕事を受注するため」で書いたとおり資格についての評価はビル管理においてはやはり外せません。ですので、会社に貢献することにもなり、自分の評価にも直結するので資格取得はぜひ個人でも進んで取り組んで欲しいことになります。
どんな資格を取っていけば良いか分からない人は私のトップページをご覧ください。ざっくりカテゴリーに分けています。これらの資格を目指してみて下さい。
若いうちの資格取得は大きなチャンスになる
若手のうちに資格を取得しておくことは、会社を支える屋台骨になるチャンスです。若いうちから有資格者として責任ある仕事を任せてもらい、その期待に応えていくことで、その分出世機会にも恵まれる事になります。年齢を重ねるにつれて、周りには同年代の同じ様な有資格者が多くなってきます。ほんとうは資格を持っているだけでもすごいのに、その資格を持っていることの優位性を示しにくくなります。アピールという点では弱くなってくるので、早めに資格を取得していくことをおすすめします。
持ってない人も多いけどね。特に難関資格は。
ですね。資格を持ってるだけですごいんです。
でもさっき年取ったら資格無意味って言ってなかった?
そんなことは言ってません。若いうちはまだみんな持ってないからチャンスだよと言いたかっただけです。悪意はありません。
ふ~ん。
結局のところやっぱり資格は必要
ビル管理は資格商売
今まで書いてきたようにビル管理は資格が重要になってきます。仕事を受注するにも、仕事をするにも、何をするにも資格が絡んできます。会社にとっても従業員本人にとっても必要なモノ、それが資格です。
資格を取ったからと言って業務で貢献できていなければ給料はついてきません。ですが、資格を取らなければ資格者が別に必要になるためもっと給料は上がりません。
はっきりと言います。給料を上げたければ資格を取ることです!!
(補足)
とはいえ、最近は働き方の多様化を受けて現場でじっくり働いてもらうスタイルも出てきました。働き方の選択肢も多くなってきています。この場合は給料はほとんど上がりませんが、資格取得に対してのプレッシャーは弱めでいち現場員として緩く長くの働き方ができる様になってきています。そんな働き方に興味がある人はビル管理業界も1つの選択肢になると思います。
ビル管理にはどんな資格があるのか気になる方はこちら