どうもみなさん
ビル管理業界で働いている者ならビルメン四点セットとビルメン三種の神器というワードを1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。今回はそのうちビルメン四点セットを紹介していきたいと思います。
まずビルメン四点セットとは4つの資格を総称した呼び方です。
ビルメンでこれらの資格がなぜ推奨されているのか、現場で働いているスタッフや採用担当者はどのようにこの資格を見ているのかを書いていきたいと思っています。ビルメンを目指している人、ビルメンに勤めている人、ビルメン四点セットを取得して、会社にアピールしましょう。
これらの資格は、ビルメンに限らずビルメンを取り巻く様々な業界でも役に立つ資格になってきます。自分の知識や仕事の幅を増やす意味でも積極的に勉強していくことをおすすめします。少し長くなりましたが紹介していきたいと思います。
こんな人におすすめ
・ビルメン四点セットって響きが好き
・ビルメンで頑張りたい人
・ビル管理に興味がある人
ビルメン四点セット
ビルメン四点セットとは以下の4つの資格の事を指します。会社がこれらの資格取得を推奨する理由はきちんとあります。
1,第二種電気工事士
(略称:電工2種)
2,危険物取扱者乙種4類
(略称:危険物乙4)
3,第三種冷凍機械責任者
(略称:冷凍三種)
4,ボイラー2級技士
(略称:ボイラー2級)
これらの資格は建物管理(特に設備管理)をしていく上で必要な知識を持っていることを証明するような位置づけです。
ただし、建物によっては選任が必要になる資格もあるので、重要度は建物によって変わってきます。以下、一つ一つ見ていきます。
取得する順番だけが知りたいという方は、後半の「おすすめの取得の順番」を参照ください。
第二種電気工事士
この資格はビルメンの道の登竜門として推奨される有名な資格の1つです。推奨される理由は下記の2点です。
①ちょうど良い難易度
②安定器交換などの実務に役立つ
ちょうど良い難易度
ビル管理業界は、実は非常に幅広い知識が求められます。建築基準法、消防法、ビル管法をはじめとして様々な法律を広く浅く学んでいかなければなりません。ビル管理業界に身を置く以上、資格に限らず常に勉強は必要になってきます。その勉強をし続ける、きっかけ作りのためにこの資格は推奨されています。
電気の知識・技能の基礎が身に着く
実際に建物(設備)管理をしていると、破損したコンセントの交換、照明の安定器交換などの業務が発生します。これらは電気工事ですが、電気工事業者に頼むほどの事でもない作業として扱われる場合がほとんどです。ちょっとした修理は管理人であったり、常駐員がする事が多いと思います。ですので、これらの作業に対しての技能を身に着けてもらう為にもこの資格取得が推奨されています。
よく第二種電気工事士の資格がないと電気工事をしてはいけないなどと書かれている事もありますが、電工2種は一般電気工作物のみ電気工事ができます。ビル管理では自家用電気工作物がほとんどですので、資格としての出番は実はありません。
危険物取扱者乙種4類
この資格は、就業する施設によって重要度が変わる資格です。この資格が選ばれている理由は次の様に考えています。
①選任がいる施設を担当する事がある
②選任がなくても知識が必要な現場がある
選任が必要な場合がある
選任が必要な施設であればその需要は高いでしょう。会社が新規に受託した施設であれば選任の必要が出てきますが、選任が必要な施設に配属になった場合は、すでに他の持っている人が選任されていると思いますので資格としては必要ないかもしれません。しかし資格で学ぶ内容はそのまま実務に直結しますので知識として必要になります。
知識が必要な場合がある
常用発電機や非常用発電機を設置している施設は、C重油や軽油などをタンクや地下タンクなどで保管して運用していると思います。これが規定の量を超えている場合には危険物取扱者の選任が必要になりますが、選任の必要がない施設でも多くの建物で非常用発電機を設置しているので、危険物への必要な措置について知っている必要があるケースが多いです。このためこの資格取得が推奨されています。
第三種冷凍機械責任者
この資格は主に工場等で冷凍機械を使っている施設の管理で選任が必要となります。しかし、ビル管理業でこれらの選任が必要な施設に該当することはあまり無いでしょう。最近はユニット型冷凍機が主流で資格そのものが必要ない冷凍機も増えています。しかしながらこの資格もビル管理ではまだまだ求められています。
この資格が選ばれている理由は次の様に考えています。
①選任が必要な場合がある
②この資格の知識を必要としている
選任が必要な場合がある
大規模な施設になると、チラー冷凍機などの冷凍設備のサイズも大きくなってきます。選任が必要な機器がある場合には選任が必要になります。選任がある場合にはこの資格の価値は上がるでしょう。冷凍3種の場合は、1日の冷凍能力が100t未満の製造施設で選任が必要になります。
この資格の知識を必要としている
この理由については、下記リンクの冷凍2種でもご紹介していますが、空調機などの知識がまさしくこの資格の知識です。この資格の勉強をすることで、空調機などの点検や原因調査の技量向上を目指してほしいのです。最初に書いた通り資格としての出番はほとんどありませんが知識としては多いに役に立ちます。このためこの資格取得が推奨されています。
ボイラー2級技士
現在は、ボイラー2級の資格が必要な施設はどんどん減っています。主流であった炉筒煙管ボイラーは貫流ボイラーなどに置き換わってきており、技術の進歩によって電熱面積が小さくても蒸気量や温水量を確保できる様になってきています。このため資格としての出番は減ってしまっていますが、この資格はまだまだ必要とされています。その理由は次の様になります。
①第一種圧力容器等高圧ガスの責任者として選任が可能
②ガス給湯器や熱交換器はこの資格の知識が必要
第一種圧力容器等高圧ガスの責任者として選任が可能
第一種圧力容器の取扱作業主任者の選任に、この資格が変わりに使えます。第一種圧力容器はまだ多くの施設にありますので、この資格の需要はあると言えます。
ガス給湯器や熱交換器はこの資格の知識が必要
ガス給湯器の様な、燃料、熱交換、燃焼方法などを知っていないといけない設備はまだまだ多くあります。こういった機器にボイラー2級で得た知識が大いに役に立ちます。このためこの資格取得が推奨されているのです。
おすすめの取得の順番
わたしは下記の順番で取得することをおすすめします。
- 第二種電気工事士
- 危険物取扱者乙種4類
- ボイラー2級
- 第三種冷凍機械責任者
この順番は、難易度、理解のしやすさ、そして実用的かどうかで判断して決めています。わたしの独断と偏見も多少入っています。
ビルメン四点セットっているの?
ここまでビルメン四点セットを紹介してきました。これらの資格を取得すると、一時金や毎月の手当は付いても選任もなく役に立っている感じのない人も多くいると思います。
それでもなぜ、ビルメンの会社は資格取得を推奨し続けるのでしょうか。それには大きく2つの理由があると思っています。
①客先へのアピールのため
②入札などで常駐員の資格要件が定められている
客先へのアピールのため
ビル管理業界は既存や新規を問わず客先(所有者など)に対しては保有資格数で技術力と安心感をアピールする傾向があります。責任者のみならず現場の常駐員の保有資格も集計し層の厚さをアピールするのです。
客先も何も資格がない人たちよりも資格所有者に現場で勤務してもらった方が良いと思っています。そこでこのビルメン四点セットが役に立つのです。
入札などで常駐員の資格要件が定められている
これについては下の記事に書かせてもらっています。もしよければご覧ください。
ビルメンを目指す人にとっての価値
・これらの資格も確認される
・スタートの給料が多少変わるかも
これらの資格も確認される
ビルメンテナンス業界は中途採用が多く即戦力を採用する傾向にあります。そのため履歴書では職務経歴と共に資格も必ず確認されます。採用担当者としては可能な限りの即戦力を望んでいるのです。
選任が必要な設備があれば選任できる資格を見ますし、選任がないとしても施設に設置されている機器についてどこまで知識があるかは確認したいと思っています。知識を持っていることを証明できるモノがこれらの資格になります。
スタートの給料が多少変わるかも
求人を見ていると月給〇〇万円~〇〇万円(経験を考慮)などと書かれ、その振れ幅が時に大きく書いてあることも多いです。これは即戦力級ならスタート賃金を多少上げても構わないスタンスであることの現れです。ですので、これらの資格を取って面接を受けるとスタート時の給料が何も資格を持っていない人より高くなることも十分にありえます。
今回紹介したビルメン4点セットは基本的には資格としての価値というより知識があることを証明するための資格になります。ビル管理会社のホームページをいろいろ見てみて下さい。大多数の会社では、従業員の保有資格などとしてアピールしています。こうして自社の良さをアピールするために資格取得を推奨しているのです。
以上、ビルメン四点セットについてでした。
誰が名付けたんでしょうね。すごくセンスが良いです。