どうもみなさん
今回は、建築物環境衛生管理技術者(通称:ビル管理士)について紹介していきます。
ビル管理士とは、多数の者が利用する建築物の維持管理に関し衛生的な環境の確保を図り公衆衛生の向上及び増進に資する為の資格となります。
噛み砕いて表現すると「建物を快適に利用できるように管理する技術者」ということになります。
その資格の需要と、試験と講習どちらでの取得が良いのか書いていきます。
この資格の免状を取得するに当たっては、まずは自分の置かれた状況によって取得する方法を考えてみることをおすすめします。
建築物環境衛生管理技術者
こんな人におすすめ
ビル管理の新人さん
ビル管理士試験を受けようと思っている人
講習受講したいと思っている人
この資格の需要と会社の本音

資格の需要
この資格はビル管理業界の中では、電験三種やエネルギー管理士と比べてはるかに需要があります。この資格さえあればまず就職に困ることはないと言っても良いくらいでしょう。
特にビル管理業界で物件担当者などの仕事に就いている(若しくは就きたい)人にとってはこのビル管理士を最優先に取得した方が良いです。
ビル管理士を優先にした方が良い理由
なぜ需要があるのでしょうか。
会社のホンネ
それは、3,000㎡以上の特定建築物(病院等の一部の建築物は除く)と言われる建物には必ず選任が必要になるからです。しかも、この資格者の選任は、原則1人1棟までとなっています。所有者が同じであっても、原則兼任はできません。(2022年4月1日より法改正されて兼任できるようになりました)
法は改正されても、会社側から見ると新規案件を受託し続けていくと有資格者が不足する事態に陥ります。新規案件を受託し続けていくためには選任可能な有資格者を常に確保しておく必要があります。
有資格者が確保できない為に新規案件を取りに行けない会社すらもあるのです。これは会社にとって成長機会を奪われるので致命的です。兼任は認められましたがどの程度兼任を許容できるかによってはまだまだ需要が無くなることはありません。
会社としては選任がなくても有資格者は抱えておきたいというのがホンネでしょう。
ビル管法の変更点については下記に紹介しています。
有資格者のメリット
この資格は会社のためだけではありません。この資格を持つだけで以下の様なメリットがあります。
1,転職を考えてもまず職に困らない
2,責任ある仕事を任せてもらえる可能性が高くなる(出世に近づく)
3,手当てなどで給料が上がる
この様に会社への貢献度を見ても個人のメリットを見ても存在感が大きいのがこの資格になります。
ここからは免状をどの様に取得するのが良いかを見ていきます。
ビル管理士の免状ってどうやって取るの?

ビル管理士への道
ビル管理士の免状への道は2通りあります。
1,受験資格を満たし、試験を受けて合格
2,受講資格を満たし、講習を受けて修了考査で合格
それぞれ見ていきます。
試験を受けて合格を目指す
試験日
年1回 毎年10月ごろ
受験資格
特定の建築物の当該用途部分において環境衛生上の維持管理に関する実務に業として2年以上従事された方
推定勉強時間
300時間~500時間程度
受験手数料
13,900円(消費税非課税)
合格点
全問題数180門中117問以上 (65%以上)
各科目40%以上
合格率:18%前後
詳細は下記センターのホームページより確認下さい。
講習を受けて合格を目指す
受講資格
大学の指定学科:実務経験1年以上
短大・高等専門学校:実務経験3年以上
工業高校等:実務経験5年以上
その他:5年
※取得資格による実務経験も受講資格として入ります。
詳細はセンターの受講資格一覧を確認下さい。
受講料
11万円程度(テキスト等教材費含む、非課税)
※2022年度は108,800円
募集人員
各講習会定員100名ずつ
開催都道府県
東京、愛知、大阪、広島、福岡、北海道
講習期間
18日程度(土曜日を含む、約3週間)
修了考査:あり、結構難しい
毎年の免状取得者の比較
これ意外と比較されていないので比較しておきます。
種類 | 受験(講)者 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
試験 | 9,651人 | 1,707人 | 17.6% |
講習 | 1,600人 | - | - |
※試験は、2021年度の人数になります。
※講習受講は2021年度は定員100名、16会場なので1,600人となります。
実は試験受験による合格者数と同じくらいの人数が講習受講で免状を取得しています。講習受講によって免状を取得する方法もメジャーな選択肢となります。
ビル管理士は講習受講が良いが、、、
講習受講の機会に恵まれない人もいる
この資格は1つの会社でビル管理歴が長くなってくると必然的に声がかかってくる資格と言えます。ですのでビル管理士の資格を目指すなら間違いなく講習受講を目指した方が良いです。とは言え受講資格があってもビル管の講習受講に恵まれない人もいます。どんな特徴があるでしょうか。
講習受講の機会に恵まれない人の特徴
1,1人現場で代わりが居ない人
2,純粋に毎年の講習受講予定者数の枠からあふれている人
3,会社に定着してくれるか不安に思われている人
1,1人現場で代わりが居ない人
1人現場だと、代役が必要になりますが、ビル管理の仕事はすぐに引き継げるかというとそうではありません。1ヶ月という中途半端な期間である事を考えると、会社側も消極的にならざるを得ません。
2,純粋に毎年の講習受講予定者数の枠からあふれている人
翌年は何人受講させるか人数が決まっている会社もあると思います。この人数に対し、純粋にあふれてしまい受講機会を逃している人もいると思います。その場合は、諦めずに受講したい意思を会社に示してみても良いかもしれません。
3,会社に定着してくれるか不安な人
ビル管理業界は比較的転職の多い業界です。中途採用者は当たり前にいます。全員中途採用者なんていう現場もあります。そんな背景がある中、会社として全員に講習受講の機会は与えられません。
免状を取得してもすぐに辞められては、機会も費用もただの損失になってしまいます。実際に私の周りでも会社と意欲的に関わっていく人や長く働いている人に受講が指示されている様に感じます。
その会社と共にやっていこうという姿勢を見せなければ講習受講の機会はやってこないと思って良いでしょう。
こんな方法はおすすめしない
自分で費用を出し有給休暇を取得し3週間という長い期間仕事を留守にして受講することは可能ではあると思いますが、おすすめしません。
講習の受講には会社側の協力が必要不可欠です。むしろ会社の指示によって講習を受講しに行く人も大勢いると思います。試験も受講も結局は実務経験が必要なので実務を通して会社との信頼関係を築き、そして協力を得ながら受講できる様に頑張る事をおすすめします。
ビル管理士の講習について

実は落ちる事がある修了考査
大多数の人は合格しています。しかし、科目の不合格者がたまに出ます。私の周りにも何人か再考査者がいました。気を抜いていると足元をすくわれますので注意して下さい。
資格と実務
この資格の内容は試験であっても講習であっても建物管理のあらゆる実務で活躍します。その例を下記記載しておきます。
営業職
この資格非常に生きます。いや逆です。実務において積算などで洗い出している内容(項目、数量、頻度等)がすべて出ます。全部をおさらいしていく感じと言った方が正しいでしょう。
物件担当者
基本はビル管法を元に考えていくので、年間スケジュールや各種報告書などで当たり前に目にする内容が出ます。日頃行っている事の意味をこの資格を通して学び直す感覚でしょう。
現場責任者や現場作業員
年間スケジュール、月間作業予定表などはこれらを元に作られていることも多く、日頃から、ビル管法のもとで業務を行っています。資格を取得することによってなぜその業務を行う必要があるのかを知る良い機会になるでしょう。
ビル管理士の選任条件が緩和される
2022年4月にビル管の兼任条件が緩和されました。今後兼任に対してどの程度許容できるか行政と会社双方が模索していく形になると思いますので、落としどころによってはこの資格の需要が大きく変動する可能性があります。引き続き見守りたいと思います。
免状について
最後に免状のことを少し。ビル管理士の選任を交代するときには保健所などへ選解任の手続きをしにいくと思います。そのときには選任者の免状の原本を求められる場合が多いので会社に預けておくなどしておきましょう。
この資格に興味がある人はぜひ講習での取得を目指して頑張っていきましょう。
変更点については、下記に紹介していますので気になる方は確認下さい。